CLUB HARIE

2017年1月22〜23日、フランス・リヨンで行われる世界最高峰の洋菓子の国際大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2017」にクラブハリエ山本隆夫が出場。世界一に挑みました。

クープ・デュ・モンド 2017 出場

2017年1月22〜23日、フランス・リヨンで行われた洋菓子の国際大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2017」にクラブハリエ代表取締役社長/統括グランシェフの山本隆夫が出場しました。
各国の予選を勝ち抜いたパティシエたちがその腕を競う世界最高峰の場として知られるこの大会。山本は氷彫刻・アントルメグラッセ(アイスケーキ)担当として、シュゼット・ホールディングスの駒居崇宏シェフ、森永商事の植﨑義明シェフとともに、企業の枠を超え、日本代表“チームジャパン”として頂点を目指しました。
今回チームキャプテンとして世界に挑んだ山本。和菓子舗「たねや」の次男に生まれ、現在、たねやグループの洋菓子部門「クラブハリエ」グランシェフとして経営を担っています。これまでには様々な紆余曲折、試練がありました。クラブハリエの歴史、そして山本のストーリーをご紹介します。


Episode.3

挑戦。コンクールで失敗し続ける日々から世界一へ

経営者としてバームクーヘンのヒットなどでクラブハリエの基盤を整えた山本は、一流の洋菓子職人と交流するうち、次第にコンクールへ再挑戦する意欲が湧いてきました。世界を知る職人にあこがれ、自らも職人として世界を視野に入れるようになったのです。
そして2004年、日本最大級の洋菓子コンクール「ジャパンケーキショー東京」チョコレート工芸菓子部門で優勝。しかし、他の実力者がミスで順位を落とした結果だと知り、“真の日本一”を目指して挑戦を続けますが、同じ大会で2007年には3位、2008年には2位となかなか頂点を極めることができませんでした。

自社の若手が力をつけ結果を残すようになってきたこともあり、頭をよぎったのは「自分はもうコンクールを引退し、経営に専念したほうがいいのかもしれない」という思い。しかし、「負けたまま終わりにしたくない」という生来の負けず嫌いな性格もあり、「これで最後」という思いで、ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ(WPTC)2010日本代表選考会に挑みました。そしてついにチョコレート細工ピエス部門で優勝、日本一に輝いたのです。
日本一の次は、世界一へ。他部門で優勝した三宅善秋シェフ(当時ザ・リッツ・カールトン東京)、五十嵐宏シェフ(パティスリー ラ・ローズ・ジャポネ、当時マンダリン・オリエンタル東京)とともに世界大会への切符を得ました。
ここからの道程こそ本当の戦いの始まりでした。本来の業務をおろそかにすることはできないので、練習はいつも就業時間後、日付を超えるような時間まで夜通し続くこともありました。時間の都合をつけては3人で寝泊まりし、とにかく何でも話し合い結束を高めました。
2010年7月、アメリカ・アリゾナ州フェニックス。迎えた大会当日は用意されていた調理器具の故障やオーブンの不調など、予測していなかったトラブルが続くなか3人で助け合い競技を全う。見事WPTCにおいて日本勢初となる優勝を勝ち取ったのです。

「技術でもデザインでもない、最後は精神力だけの勝負だと痛感しました」。山本は担当のチョコレート細工において、直径30センチの球体に地球を描き、特にその美しさと繊細な技が大きな評価を得ました。 一度はあきらめかけた夢を、山本はその手で掴みとったのです。

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『次の世代へ受け継がれるクラブハリエの“世界レベル”』

一企業のトップでありながら自ら常に挑戦し続ける山本の姿は、若い職人たちの目標であり続けています。“さらに上を目指す”その姿勢がクラブハリエの高いレベルの秘訣です。