ラ コリーナ日誌
素材と製法への想いが詰まった「本生羊羹」
Text : 長谷川 朝香(広報室)
- #たねや
つるりとなめらかな口あたりと、小豆の豊かな風味が広がる本生羊羹。
2004年から販売するロングセラー商品であり、たねやを代表する涼菓です。
私自身、昨年の現場研修で滋賀県愛荘町にある愛知川製造本部の「羊羹工房」で研修を行い、 実際に製造工程で作業をし、先輩に話を聞いた思い出深い商品でもあります。
初めて食べたとき、柔らかくなめらかな口溶けと小豆の繊細な味わいに驚きました。
その味わいを支えているのは、厳選した素材と、たねや独自の製造方法である「本生製法」です。
今回は、素材へのこだわりと本生製法にスポットを当て、私自身が羊羹工房で見たり学んだりしたことも交えながら、たねやの本生羊羹が長年愛される秘密をご紹介します。
<素材へのこだわり>
・北海道産小豆

羊羹をつくる上で要となる素材の小豆。たねやでは、北海道の契約農場で収穫された
北海道産小豆を使用しています。

広大な土地を持つ北海道は小豆づくりに適しており、昼夜の寒暖差と涼しい気候が風味豊かな小豆を育みます。

また、たねやでは滋賀県の愛知川製造本部にある製餡工房で、あんこを自社製造しています。
そうすることで、あんこの甘さや硬さなどを調整し、「たねやの和菓子に合ったあんこ」をつくることができます。
・近江の水
小豆と並んで欠かせない素材なのが、水です。たねやのふるさとである滋賀県は良質の水に恵まれた場所で、製造本部が愛荘町に置かれているのにも、鈴鹿山系から流れる地下水に恵まれた場所であるという理由があります。
和菓子づくりには水が非常に大切で、良い水を使うことが上質で美味しい和菓子をつくることに繋がると、昨年新入社員の頃に教わりました。
盆地であるという滋賀県ならではの地形を活かし、山々がもたらす豊かな水を使って、本生羊羹はつくられています。
<たねや独自の「本生製法」>
素材の持ち味を最大限に活かし、限りなく「生」に近い水羊羹をつくりたい。その想いから10年以上かけてたどり着いたのが、たねや独自の「本生製法」です。

本生製法では、炊きあげた羊羹を熱いうちにそのまま充填します。日保ちを長くするために、羊羹を充填した後さらに加熱するという方法もありますが、小豆は高温によって風味が損なわれてしまいます。熱いまま充填することで、余分な加熱をできる限り抑え、小豆本来の風味を損なうことなく、瑞々しく繊細な味わいを活かすことを可能にしました。

こうして生まれたのが、限りなく「生」に近い味わいの本生羊羹。素材のおいしさをそのまま感じていただける、たねやならではの一品です。
この製法で高品質の本生羊羹をつくるために、製造工程で様々な工夫がされています。
クリーンルーム

まず、温度、湿度、室圧が一定に保たれたクリーンルームの導入です。
室内の空調や環境を徹底的にコントロールしたクリーンルームを導入することで、商品の風味や鮮度を保ち、より良い品質の商品をお客様にお届けできるようになりました。
回転冷却
次に、「回転冷却」と呼ばれる冷却方法です。
充填した羊羹を固めるために冷却する際、専用の機械を使い回転させながら冷水に浸けることで、水と羊羹が分離してしまうのを防ぐことができます。
鈴鹿山系の地下水の中をくるくる回りながら運ばれていく様子が、私が見学した製造工程の中で特に印象に残っています。
検品
また、お客様に安心してお召し上がっていただくため、できあがった商品を一つひとつ丁寧に検品します。
特に商品に気泡が入っていると品質低下を招くので、重点的に見ていきます。

この工程は、工場での現場研修の時に私自身も体験しました。気泡がないかに加え、フィルムの汚れや容器のへこみ等が無いかも確認します。

一度に4つの商品を手に持ち、不良品を見逃さないように1つひとつ見る必要があるため、精度を落とさずにその作業を長時間続けるにはかなりの集中力と根気がいるということを、身をもって感じたのを覚えています。
お客様に喜んでいただけるお菓子をお届けするため、素材や製法に加え、安全性や品質にもこだわっているということを学ぶことができた貴重な機会でした。


素材本来の味を生かすこと。
そして、その魅力を最大限に引き出すための製法を追求すること。
本生羊羹には、たねやが大切にしてきたお菓子づくりへの想いが詰まっていて、それこそがお客様に長く愛される理由なのだと私は思います。
厳選した素材と本生製法から生まれる、瑞々しくなめらかな味わい。
その味わいは、定番の本生羊羹だけでなく、新たな味わいにも生かされています。
今年5月、新しく本生羊羹 抹茶の販売がスタートしました。

味わい豊かな滋賀県土山町産の抹茶を合わせた、期間限定商品です。
あっさりと口溶けの良い羊羹に、繊細で奥深い土山町産の抹茶がよく合います。羊羹の甘味と抹茶の苦味がお互いの良さを引き立てあう一品です。

また、羊羹自体に抹茶を混ぜ込むのではなく、別添えにしてお召し上がりの直前にかけていただくという形にすることで、より抹茶の奥深い味わいを感じていただくことができるというのもポイントです。
ぜひ、定番の本生羊羹と合わせてご賞味ください!
本生羊羹を食べたことがある方も、まだないという方も、この夏はぜひ厳選した素材と本生製法から生まれる瑞々しい味わいをお楽しみください。